会社を退職する理由は転職による自己都合や、会社都合、解雇など自分が望まない理由の場合もあります。
退職理由によっては退職月の給料をもらえないのではないかと心配するケースもいるのではないでしょうか。
ただ、退職するまで会社で仕事に従事している事実は変わりません。
退職日まで働いた給料やボーナス・賞与はどうなるのかについて解説します。
会社を辞めさせられた場合、お給料ってどこまで貰えるか心配ですよね。
特にお金のことは自分から会社に聞きづらい状況もあるからのう。
でも、働いた手当は貰って当然のような気がします詳しく教えてください。
退職理由によらず給料は受け取れる
懲戒処分解雇でも給料は支払われる
人により会社を退職する理由はさまざまですが、退職日まで給与支払者の管理下で仕事をしていたことに違いはありません。
その間の給料はいずれの退職理由でも、受け取ることができます。
例え社内規範に違反したために懲戒解雇されたとしても、解雇されるまでに働いた賃金は懲戒処分とは関係がありません。
懲戒解雇されるまでの賃金は受け取ることが可能で給与支払者はその給料を支払う義務があります。
給与支払い日を前倒しするケースも
会社の規程で月末締め翌月20日支払いであれば、退職月の給料は翌月20日が支給日です。
前月末に退職した社員は、翌月20日時点で社員でないから、給与がもらえないということはありません。
会社によっては、退職者の給与を翌月の支払日を待たずに前倒しして支払ってくれるケースがあります。その場合も会社の賃金規程に定められています。
毎月1回給与をもらうのは権利
労働基準法では毎月1回以上、定めた期日に賃金は支払わなければならないとなっています。
月末締め翌月20日支払いと定めている会社は、退職月の翌月20日に給料を支払わなければなりません。
給料の受け取りは請求から7日以内
法律で7日以内の支払いを受けられる
労働基準法では退職する際の給料は、権利者から請求を受けた場合、7日以内に支払う義務があると規定されています。
自己都合や契約期間の満了、解雇など会社都合でも、会社の給料の締日や支払日に拘わらず、請求後7日以内に給料全額を支払う必要があります。
例えば月末締め翌月20日支払いの会社を、月の途中の10日に退職し、給料の支払いを請求した場合、17日までに前月分と今月10日分をまとめた給料を受け取ることが可能です。
請求がない場合は通常の給料日
退職者の給料支払いの規定はあくまで請求があった場合に限られるので、退職するときに何も請求しなければ、通常の給料日に支払われます。
転職先が決まらないまま、解雇などで退職する場合、給料の支払い日がいつになるのかを知っておくことは重要です。退職理由に拘わらず、退職する際に請求すれば7日以内に支払いを受けられることを知っておくと役立つでしょう。
積立金・保証金なども請求できる
7日以内に支払われるのは給料だけでなく、会社が給料の天引きなどにより、預かっていた積立金、保証金、貯蓄金なども同様で返還してもらう権利があります。
例えば毎月の給料から2,000円ずつ、社員旅行の積立金として積み立てられていた場合、7ヶ月分を積み立てた時期に退職するなら、退職の際に請求すれば7日以内に14,000円を返還してもらうことができます。
請求すれば会社の支払日を待たずに給料が受け取れるんですね。
社員旅行の積立金なんかは忘れがちじゃから、しっかり請求するといいじゃろう。
根拠法令等
労働基準法 第2章 労働契約(金品の返還)
第23条 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
2 前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。
ボーナス・賞与の支払いは就業規則を確認
支給条件は就業規則で定める
ボーナス・賞与の支払いに関しては、通常、会社の就業規則の賃金規程で支給対象の条件をはっきり定めています。
ボーナス支給日に在籍している、支給日の1ヶ月前に在籍しているなど会社によって支給の条件はさまざまです。
在籍していることが条件なので、会社に籍があれば有給休暇を消化していてもボーナス支給対象として認められます。
業績次第で支給されないことも
ボーナス・賞与は一般的に会社の業績が好調なとき、個人の成績が良かったときに査定を受けて支給されます。また、就業規則で、ボーナス・賞与の支給対象の条件がはっきり定められていない場合は、もらえない場合もあります。
ボーナス・賞与をもらってから退職する場合は、会社の就業規則の賃金規程を確認してからにしましょう。
請求後7日以内に支払われない場合
書面の請求書を会社に郵送
退職の際に請求したにも拘わらず、支払いや返還に応じてもらえない場合、書面の請求書を作成し、会社に郵送します。
書面で請求すれば、後日、裁判になった場合に、請求書のコピーを証拠書類として提出できます。
証拠として使用する場合は、記録として残る内容証明郵便を利用するようにしてください。
労働基準監督署に申告
退職者の請求に応じない行為は労働基準法に違反するので、労働基準監督署に違法行為の是正申告を行うことができます。
申告を受けた監督署は会社に対し、臨検や調査を行うことになり、会社が支払いや返還に応じる可能性があります。
労働局に申立をする
労働局は労働者と事業主の間に起こった紛争解決の助言や指導、解決案の提示を行うことができます。
労働局は全国に設置されているので、管轄の労働局に紛争解決援助の申立を行います。
会社が労働局の助言や指導、あっせんの解決案に応じる可能性はあります。
弁護士に相談
以上の対応策を講じても、会社が支払いや返還に応じない場合は弁護士などに相談し、裁判を通じて解決を図ることも必要になります。
お給料が貰えないからと泣き寝入りする必要はないんですね。
自分から行動を起こすのは面倒じゃが、働いた分の賃金をもらうのは当然じゃからの。
まとめ
退職時期に拘わらず、退職月の給料は支払われますし、退職時に請求すれば7日以内に支払ってもらえます。
特に在職中に給料から天引きされていた積立金や保証金、貯蓄金は退職者に返還していないことが多く、退職するときに気づかないまま辞めてしまうことが考えられます。
ボーナス・賞与は就業規則を確認すれば、支給条件を満たしているのか分かります。
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