無事、転職先が決まり、退職の手続きを進めるときに、気になるのが残っている有給休暇です。
引き継ぎに日数がかかって有給消化ができなかった、有給休暇が残っていたことに気づかなかった、有給消化したつもりが実は未消化だったということもあります。
転職で退職する際に有給消化する方法や手順、有給買取について解説します。
有給休暇が取りにくい会社ってまだまだ多そうですよね。
そうじゃのー。あと何日残っているかとか、次の年まで持ち越せるのかとか、詳しく知らん人も多いじゃろうな。
どうせなら、全部消化して辞めたいですよね。
就業規則にもよるが、有給休暇の基本的な事を教えようかの。
退職者の有給消化の現実
有給休暇の平均消化日数は約8日
20~39歳の転職経験者にネットによるアンケートで、退職する際の有給消化日数を質問すると、もっとも多かったのは0~4日の46.1%でした。
一方で9~12日が20.8%、17日以上も17.1%あり、その他も合わせると全体の平均有給消化日数は8日程度となっています。
すべて有給消化できた人は半数弱
「残りの有給休暇をすべて消化できたか?」という問いには、すべて消化した人は47.8%、すべて消化できなかった人は52.2%で、できなかった人の方がやや多いという結果でした。
有給消化ができないのはなぜ?
有給消化できなかった理由(複数回答あり)で、有給消化しにくい雰囲気がある57.6%、仕事が多忙で消化できなかったは39.0%、転職先の入社日が決まっていたが11.9%と続きます。
退職時に有給消化できることを知らない人もおり、こういった場合はせっかくの有給休暇が消滅してしまいます。
有給休暇は退職時も自由に取得できる
勤務期間に応じて有給休暇は増える
労働基準法で雇用期間が6ヶ月以上、労働日数80%以上出勤していれば、10日の有給休暇が認められています。
日数は勤務期間に応じて長くなり、1年半で11日、6年半以降になると毎年20日の有給休暇が支給されます。
年次有給休暇の計画的付与と取得について- 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/040324-17a.pdf
いつでも自由に取得できる
有給休暇は一定期間勤務した労働者の権利として認められているので、基本的にはいつでも自由に好きなタイミングで、休暇を申請することができます。
有給によって会社の業務に支障がある場合、会社は時季の変更や調整を求める時季変更権を行使できます。ただし、決まった退職日には時季変更権は使用できません。
退職時の有給消化
有給休暇はいつでも休暇を取れるので、退職時にまとめて有給休暇を申請する人は多いです。
最終出勤日の翌日から有給消化期間に入り、退職日に雇用契約が終了します。
繰り越し可能でも時効がある
ちなみに、その年に未消化だった有給休暇は翌年度に繰り越しすることが可能です。
ただし、労働基準法で時効が2年と定められているので、2年までの繰り越ししかできません。
また、2年間まったく有給休暇が取れなかったとして、取得できる日数は最大40日になります。
最終出勤日と退職日が違うっていう人は多いんですね。
次の就職先が決まっている場合、最終出勤日と退職日を混同して伝えないように気をつけんとな。
上手に有給消化するために効果的な方法
退職時の有給休暇を上手に消化するための方法をご紹介します。
有給休暇の残日数を事前に確認する
転職前に有給消化を実行するには、まず、申請できる有給休暇の日数を確かめましょう。
勤続年数によって取得できる有給休暇日数を調べてください。
ただし、就業規則で定休日としている日は有給休暇とはなりません。
例えば、土日休みの完全週休2日制の会社では、土日は就業規則で定めた休日扱いとなります。
仮に15日分の有給休暇を月の後半の16日から31日までに消化しようとしても、2週分の土日4日間はカウントされず、最大12日にしかなりません。
すべて有給消化するには13日から31日を有給消化の期間として申請する必要があります。
会社によっては有給休暇だけでなく、リフレッシュ休暇などの特別休暇を消化できるケースがあるので、そういった点も踏まえて就業規則を確認してください。
有給消化することを早めに伝える
まず、直属の上司に退職の意思を口頭で伝え、了解を得ます。
また、就業規則に退職規程が定められていたら、その期日に従ってください。
続いて引き継ぎと有給消化について上司にスケジュールを相談します。
有給を取りづらい職場では、退職日が決まる前に有給の話を出すと時季変更権を行使する恐れがあるので、まずは退職日の決定後にしましょう。
念の為、有給休暇を申請するときは口頭ではなく、書面やメールで記録を残して申請してください。
業務の引き継ぎを責任持って行う
有給消化の申請後、スケジュールに沿って業務の引き継ぎをしっかり行いましょう。
社内の人向けに引き継ぎマニュアルを作成し、取引先の挨拶回りでは後任者を紹介しておきます。
また、有給消化中に取引先から連絡が来ることがないように、取引先には予め伝えておいてください。
有給買取とは
労働基準法では原則買取禁止
基本的に労働者が休暇を取る権利として有給休暇が認められているので、労働基準法では有給休暇の買取は原則、禁止となっています。
ただし、例外が認められるケースがあります。
買取が認められる例外ケース
有給の買取が認められる例外ケースを紹介します。
法定日数を上回る有給休暇の買取
会社によっては、勤続年数による有給休暇の法定日数を上回る有給休暇が取得できるところがあります。
法定日数で有給休暇は十分取れるので、加算された分を買取してもらうことは法律的にも問題ありません。
消滅する有給休暇の買取
未消化の有給休暇は、退職時に無くなってしまいます。
そのため、退職時の未消化の有給休暇の買取は違法とはなりません。
有給買取は会社に相談
退職時の有給休暇の買取は例外的に認められているもので、会社の義務ではありません。
会社によっては買取してくれるところもあれば、就業規則に定めておらず、買取してもらえないこともあります。
詳細は就業規則を確認するか、会社の人事や労務担当者に相談してください。
買取のルールは会社によって変わるんですね。
前に勤めていた会社とか、友達が退社した時の話とかを参考にしてしまうと直前になって慌てることになるかもな。事前に担当部署にしっかり話を聞いておいた方がいいぞ。
まとめ
自己都合の退職であっても、有給休暇の消化は当然の権利で、後ろめたく感じる必要はありません。
その代わり、なるべく早めに退職の意思を伝え、業務引き継ぎと有給消化のタイムスケジュールを組んで、職場に負担をかけないように心がけましょう。
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