残業が続く、上司から毎日怒鳴られるなど、辛い職場環境で働いていませんか?
会社を辞めたくても、職場の上司に退職を言い出せないなどの理由で我慢している人がいます。
ブラック企業に長く勤めるメリットはまったくありません。
上司に直接言えない場合でも退職する方法はあります。
ブラック企業は辞めるのが大変そうです。
辞めたい人を辞めさせないのは労働基準法違反じゃぞ。
そんな会社でも上手く辞められる方法を教えてください。
ブラック企業でも100%辞められる
辞めづらいブラック企業でも100%確実に辞めることができます。
社員は辞める権利がある
労働基準法では勤労者の退職の自由が保障されています。
社員が退職を申し出たら、会社はそれを拒否することはできません。
基本的な考え方 ―退職の自由―
辞職とは、労働者による一方的な労働契約の解約(退職)である。辞職は、原則として自由であり、使用者の承諾を要しない。これは、憲法で定められた労働者の職業選択の自由【憲法第 22 条】及び奴隷的拘束の禁止【憲法第18 条】の帰結である。
また、労働契約締結時に明示された労働条件が事実と異なる場合において、労働者は即時に労働契約を解除することができる【労働基準法第15 条第2 項】。
手続きをすれば確実に退職できる
会社側はいろいろな理由をつけて辞めさせないように働きかけ、入社時にサインした誓約書や契約書を持ち出すこともあるでしょう。
しかし、民法では誓約書にサインをしていても、2週間前に退職を申し出れば退職が成立するとしています。
民法第627条1項の規定は法的には「強行法規」ですので、たとえ当事者間での誓約書という合意があったとしても、労働者の不利益(退職の自由の制約)にあたるものは無効になるためです。
【民法第627条1項】
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
ブラック企業を確実に退職する方法
会社の理不尽な言い分に耳を貸さず、確実に退職するには退職届を提出することです。
退職願ではなく退職届を書く
一般的な退職では退職願を提出することが多いですが、退職願では会社に承諾してもらう必要があります。
しかし、退職の意思が明確で、会社の承諾が得られない可能性がある場合は、退職届を提出してください。
退職届は会社が受理すれば退職が成立します。
提出するタイミング
提出するタイミングは退職願と同じく、退職日の2週間前であれば退職することができます。
直属の上司に提出します。
給与計算などの手続きを考慮すると、できれば1ヶ月前に提出すると良いでしょう。
退職届の書式
会社で書式を用意していることもありますが、特に決まりはありません。退職理由は詳しく書かず、「一身上の都合」とし、宛先は社長名を記します。
退職届の書式については、下記のページを参考にしてください。
退職日までの過ごし方
退職届を提出しても退職日までは会社に籍がある社員です。
退職することが決まると遅刻や欠勤が増える例がありますが、退職日までの勤務ぶりによっては、懲戒解雇される可能性があります。
また、引継ぎなどを十分に行わないことで会社に損害を与えたと、損害賠償を請求されるケースもあるようです。
退職日まではこれまでと同じく勤務し、会社の業務の遂行に協力するようにしてください。
損害賠償請求については、次の項の「想定されるトラブルとその対処方法」にてご説明します。
想定されるトラブルとその対処方法
法律上の手続きをすれば退職はできますが、ブラックな企業ですから退職日までにさまざまなトラブルが起こることが予想されます。
退職日までに想定されるトラブルと対処する方法を解説します。
退職の届け出を受け付けない
会社が退職届を受理しない場合は、配達証明付き内容証明郵便で郵送してください。
配達証明が付いているので、会社側が届いていないと言い訳することはできません。
仮に裁判になったときに証拠となる重要書類なので、退職届には必ず本人の署名・押印が必要です。
有給休暇の取得を認めない
有給休暇の取得を認めない場合もあるでしょう。
しかし、有給休暇の取得は勤労者の権利で、労働日数の8割以上出勤し、6ヶ月以上勤務していれば、誰でも申請する権利があります。
退職前の有給消化を申し出れば、会社がそれを拒否することはできません。
取得を拒否されたとしても申請を書面で提出すれば、有給消化は可能です。
離職票を発行しない
引き止められないと分かると、離職票や退職証明書を発行しないなどの嫌がらせを行うケースがあります。
離職票は失業保険の手続きで必要な書類で、会社は退職日の翌日から10日以内に発行することが義務付けられています。
手続きに必要な書類を発行しなければ、罰則規定があります。
このようなケースはハローワークに相談してください。
ハローワークが退職を確認して離職票を交付することもできます。
損害賠償の請求
「繁忙期に退職するなら損害賠償を請求する」「雇用契約に違反するから違約金を請求する」などと言われるケースがあります。
仮に雇用契約に損害賠償や違約金について定めていても、基本的に損害賠償を請求することができません。
労働基準法では社員が自己都合で退職する際に、損害賠償や違約金を請求する雇用契約を締結することを禁止されているためです。労基法 16 条 (賠償予定の禁止)
(参考)かながわ労働センター「業務遂行上の労働者の過失と損害賠償請求」http://www.pref.kanagawa.jp/docs/k5n/cnt/f7581/documents/kh55.pdf
ただし、一部ですが同業他社への転職などの場合には、損害賠償請求が認められることが稀にあるので、心配な点があれば法律事務所に相談してみましょう。
辞めるときに嫌がらせされるのはホント気が滅入りそうですね。
だからと言って仕事や引き継ぎを中途半端にしてしまうと引き止めや損害賠償のネタにされてしまうぞ。
付け込まれないように最後までしっかり終わらせないとですね。
後任を決めずに引き継ぎさせないという嫌がらせもあるが、そういう時は書面で誰にでもわかるような引き継ぎ書を作れば大丈夫じゃ。
LINEで退職報告はOK?
ブラック企業であるほど、退職を申し出ることは困難です。
ときにはパワハラを受ける恐れもあるでしょう。
そういった場合、LINEを使って退職を報告することをおすすめします。
退職報告の方法は自由
会社にきちんと伝わりさえすれば、退職の報告をどのように伝えるかは自由です。
法律上、退職の意思表示の仕方に決められたルールはありません。
書面で提出するメリット
退職報告の方法は自由ですが、書面で伝えるメリットはあります。
退職の意志、提出日、退職日が確実に証明され、退職の意志が固いことを示せます。
LINEの退職報告も法的に有効
職場環境によっては、LINEで退職の意志表示をせざるを得ない場合があります。
退職届を受け取ってもらえない、すぐに退職するので書面が間に合わない、退職を申し出ると暴力やパワハラに遭う恐れがある、引き止めるための強要・強迫行為が予想されるなどです。
LINEの退職報告でも、会社で受信していれば、法律上有効となるのが原則です。
LINEを使用する際の注意点
書面ではなく、LINEで退職報告する場合は注意点があります。
証拠保存を徹底する
LINEメールはスマホなどに保存され、スマホの故障により、後で収集が困難となる場合があるため、書面に比べて証拠として不完全です。
LINE情報を消去しないように注意し、別に保存するなど慎重に保管してください。
投稿するときは慎重に
LINEは手軽に送信できるため、より慎重に文面をチェックし、宛先も間違わないように注意して送信してください。
就業規則を必ず確認
会社の就業規則で、退職の意思表示を書面のみに限定している場合があります。
その規定が有効とした判例があるので、書面の提出が義務付けられている場合は書面も提出し、LINEのみで報告するのは止めた方が良いでしょう。
LINEでも大丈夫なんてびっくりです。
時代じゃのう。もちろんメールでもいいぞ。
書面の提出が義務付けられている場合はどうでしょう。
内容証明で退職届を送る方法もあるな。心配なら総合労働相談コーナーに問い合わせてはどうかな?
まとめ
職場環境がブラックな会社であれば、一刻も早く退職し、雇用環境の良い会社への転職をおすすめします。
2週間前に退職届を提出し、退職日まで真面目に勤務すれば、確実にブラック企業を辞めることができます。
上司に言いづらいときはLINEの利用も検討してください。
また最近では「退職代行サービス」も増えてきています。詳しくは下記の記事をご覧ください。
コメント