退職が正式に決定したら、最後の重要な仕事として業務の引き継ぎがあります。
後任の人に負担がかからないように、会社に迷惑をかけないように、引き継ぎ期間を設けて計画的に行う必要があります。
きちんとした引き継ぎをすれば、周囲の印象も良くなり、温かく送り出してくれます。
退職をスムーズにするための引き継ぎのポイントと、引継書や資料の作成方法を紹介します。
引き継ぎって面倒臭そうだなぁ。
お前はなんでも面倒だと言うのう。しかし、キチンと引き継ぎをしておいた方が後々面倒がないぞ。
そうなんですね!面倒は嫌なので引き継ぎのコツを教えてください。
円満な退職のために退職の引き継ぎは必須
引き継ぎは義務ではない?
憲法に職業選択の自由が保障されており、退職することも自由なため、就業規則で引き継ぎを義務化することはできません。
極論を言えば、引き継ぎをせずに退職することも可能です。
ただ、まったく引き継ぎをしないで退職すると、後任者に負担がかかり、業務が停滞するなど会社に大きな迷惑をかけることになります。
退社後に業務のことで携帯電話に連絡が入ってくるかもしれません。
法律上の義務はなくても、社会人として仕事の引き継ぎは責任を持って行ってください。
退職金が減額されるケース
引き継ぎをしないことで会社が損害賠償を請求することは難しいですが、退職金の一部が支給されなかった例はあるようです。
無用なトラブルを避けるためにも、引き継ぎはしっかり行ってください。
退職の引き継ぎの5つのポイント
担当業務の区切りをつける
自分の担当業務は終わらせる、または区切りをつけるのが原則です。
そのためには残業や早朝出勤をして責任を果たす努力が必要です。
持ち越してしまった業務は後任者に経緯を説明して引き継ぎ、新たな業務は後任者のサポートに回りましょう。
引き継ぎの予定を作成する
退職日が決まったら、引き継ぎのスケジュールの作成に取り掛かります。
毎日のルーティンワークのサイクルや仕事量から、残務処理と後任者に引き継ぎする期間を計算しましょう。
することの優先順位をつけて、退職日から逆算して引き継ぎのスケジュールを立ててください。
完了日を退職日の3日くらい前にすれば、余裕を持って取り組めます。
要点をまとめた引き継ぎ資料を作成する
退職が決まっても、後任者が決まらない、担当業務を複数の人で分担する場合があります。
その場合、引き継ぎ資料があると分かりやすいです。
業務のフローや実務作業の要点などを、内容別、取引先別に整理し、新人の後任者が来ても分かるように作成しましょう。
上司への報告の方法を伝える
後任者に引き継ぎをするときに上司への報告の仕方も伝えます。
メールで良いのか、プリントアウトした書類などを提出するのか、上司に合わせた方法を細かく伝えておきましょう。
どんなタイミングで上司とコミュニケーションを取れば良いのか、上司の性格も伝えておくと、後任者にとって親切です。
取引先に後任者を紹介する
担当している取引先があれば、直接、先方の会社に伺い、後任者を紹介するようにしてください。
担当が変わっても、業務に支障がないことを伝えられ、取引先に安心感を持ってもらえます。
後任者も顔を覚えてもらうことができて、これからの業務がスムーズになります。
なるほど。業務がわかりやすいように引き継げば、辞めてからも問い合わせが来たりせずに済むという事ですね。
上司や取引先の癖や付き合い方まで教えておけば、後任者からのお悩み相談の連絡もないかもしれんの。
引継書・資料の作り方
誰が見ても分かる引継書
新人の後任者や他の誰が読んでも以前と同じような仕事ができるように、引継書を作成します。
テンプレートを利用することもできます。
一般的な引継書は次の作成ポイントを参考に作成してください。
1. 業務の目的・意図
引継書ではまず、この仕事を行う目的や意図、役割を明確にします。
2. 作業手順
初めて仕事を担当する人でも分かるように、分かりやすく丁寧に記載します。
フローチャートを活用すると視覚的で分かりやすいです。
専門的な用語はできるだけ使わず、誰が見ても作業ができるような引継書を作成することがポイントです。
3. 作業期間
ひとつひとつの業務について、いつまでに行うのか、納期はいつなのかを明記します。
4. 業務の報告・相談
業務が完了した後に報告する相手や、分からないことを相談できる相手も記載します。
具体的な名前を挙げて、主任やリーダーというように書いておいてください。
5. 業務の関係者リスト
同じ部署以外でその業務に関係する人がいれば、部署と名前、連絡先を記載しておきましょう。
連絡する必要があるときに助かります。
6. トラブル対処法・注意点
これまでの経験を踏まえて、トラブル対処法や注意すべきポイントを記載します。
後任者が担当者と同じ間違いをしてしまうと、引き継ぎが不十分だったと思われてしまいます。
後任者が困らないためにもしっかり丁寧に記しておきましょう。
作業期間が分かるタイムライン資料
作業期間でそれぞれの業務を記すだけでなく、タイムライン資料があると仕事の全体像が一見して分かります。
後任者は中長期の仕事の流れもチェックできて、仕事全体の流れをイメージすることができます。
作成方法は次の手順で行います。
- 業務を箇条書きで業務のスケジュール順に並べ替える。
- 表を作成し、上部に1月から12月の項目を設定し、それぞれの業務の作業期間を可視化する。
- 締切日(月日納期)など必要な情報は随時追加する。
資料の保管場所の一覧表
担当者が退職した後に一番困るのが、データなどの資料の保管場所が分からないことです。
後任者に資料を探すムダな時間を取らせないために、業務に必要なデータや資料の保管場所が分かる一覧表を作成しましょう。
ジャンル、資料名、保存形式、保存先の項目を記載すると分かりやすいです。
保存データはフォルダに分け、探しやすいようにしておくことも必要です。
わかりやすくまとめられるか不安だなぁ。
まとめるのが苦手な人もおるじゃろうが、最後の仕事と思って頑張るんじゃよ。
まとめ
必要なポイントを押さえて引継書を作成しても、初めて業務を担当する新人には不明なことがあるかも知れません。
後任者に直接引き継ぎができる場合、退職日の1~2週間前から、業務引継書に沿って一緒に仕事をすると疑問や不明な点を洗い出すことができます。
退社後に後任者が問い合わせの連絡をしなくても良いように、分かりやすく親切な引継書を作成してください。
テンプレートの引継書を利用する方法もおすすめです。
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