退職の意思が固まったら、滞りなく退職できるようにルールやマナーを守った行動が求められます。
労働基準法には、転職などの自己都合で退職する場合、何日前に会社に退職の意思を伝えるべき、などの規定は特にありません。そのため、民法や会社の就業規則の規程に従うことになります。
円満退社のための退職の申し出の時期やタイミングなどについて解説します。
退職するタイミングってやっぱり大事なんですか?
忙しい時期は迷惑もかけるし、引き継ぎも十分できず辞めてから問い合わせがあるなど面倒もあるかもしれんのう。
自分の気持ちだけで辞める時期を決めても上手くいかないんですね。
一刻も早く!という気持ちもあるじゃろうが、円満に辞めた方が得じゃろうな。
退職の意思が決まったら
退職の申し出のルール
会社の就業規則に「〇日前、〇ヶ月前までに退職を申し出る」という規程があるはずです。退職する際は、規程の時期までに退職の申し出を行いましょう。
まずは、直属の上司に退職の意思を伝えます。
先に職場の先輩や同僚に相談したいかもしれませんが、直属の上司は部下を管理する立場です。上司に退職の申し出をして、了承されてから先輩や同僚に話しましょう。
余計な混乱を避けるため、正式に退職の了承があるまでは周囲に話さないことがマナーです。
退職日の決定
退職日は「会社の規程」「引継ぎ期間」「有給休暇」を考慮して決めましょう。
有給休暇を使うのは社員の権利ですが、自分の都合のみを優先すると会社側に迷惑がかかります。
スムーズな退職のためには周囲への配慮は忘れないようにしましょう。
退職の申出は2週間前までに:厚生労働省
https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/library/miyagi-roudoukyoku/window/img/kiso_04.pdf
退職理由の説明
会社の現状に不満があって退職を決めたとしても、正直に理由を伝えると会社に与える印象は良くありません。
気持ちよく職場から送り出してもらえるように、納得できる前向きな理由が望ましいです。
- 新たな環境にチャレンジしたい
- さらにキャリアアップを目指したい
- やりたい仕事が見つかった
など、ポジティブで現在の会社が背中を押したくなるような話をすると良いでしょう。
退職願の提出
上司は退職の意思表示を受けて、自分の上司や役員と協議し、正式に退職を決定します。退職が決定し、会社側が了承してから退職願を出すようにしてください。
一般的には上司に手渡しますが、人事部に提出するケースもあります。
退職願は指定の書式があるのか、提出方法は郵送なのか確認しておくことが必要です。
退職理由がネガティブな人もいますよね。
人間関係や給料が安いという理由はそのまま伝えにくいし、改善するからと引き止めに合うかもしれんのう。
ポジティブな退職理由が思いつかない人はどうしましょう。
嘘はいかんが「業務がきつい」を「新しい分野に挑戦したい」とかに言い換えてはどうかな。社会人として建前も大事じゃよ。
退職日を決める際のポイント
仕事の区切りや引継ぎ期間を考慮する
退職時期を決める際、担当業務の区切りと引継ぎ期間は大事なポイントです。退職することで一時的に職場に迷惑をかけることは避けられません。
- 仕事の区切りをきちんとつける
- 業務の引継ぎを丁寧に行う
- 後任の人が困らないような心配りをする
このように周囲に配慮した退職プロセスを踏むことが大事です。
最終的には見切ることも大切
責任感が強い人ほど後のことが気になり、いつまでに区切りをつけるべきか判断に迷いがちです。
結果、退職の意思表示のタイミングを逃してしまうということもあるようです。
担当者が辞めることで仕事に支障が出ることは、業務管理を行う会社の責任でもあります。職業選択の自由は保障されているので、必要以上に仕事の区切りや人事体制について考えすぎなくてもいいのです。
本当に自分以外では務まらない業務なのか、どうかを見極めましょう。
責任感に捉われ、将来のキャリアステップの機会を失うことがないように、場合によっては見切ることも必要です。
同じ業種に転職する人は特に気を使いますね。
気を使いすぎて辞めるタイミングを見失うのも問題じゃ。どこまで引き継ぐかは主体性を持って線引きしよう。
退職する際の注意点
同業他社やライバル会社へ転職する場合
企業は自社の事業のノウハウや、社内事情を同業他社に知られたくないものです。
そのため、会社によっては、社員が同業他社やライバル会社へ転職することを一定期間認めない場合があります。会社にそのような規定があることを知らずに、うっかり転職してしまうと後からトラブルになるケースがあります。
同業他社やライバル会社に転職する場合は、会社の就業規程をよく確認してください。
転職先の入社日が指定されている場合
例えば、現在の職場の就業規則で「1ヶ月前までに退職の申し出をする」という決まりになっているとします。
しかし、転職先の会社が「翌月初めからの勤務を希望」していて、翌月初めまでもう半月ほどしか日数が残っていない、という場合はどうしたらいいでしょうか?
このような場合は、転職先の内定を得てから、理由を説明して1ヶ月待ってもらうように伝えましょう。
何ヶ月も先延ばしにするわけでなければ、大体は転職先の入社日を調整してもらえます。
ボーナス支給日が近い時期の場合
退職の申し出をする時期がボーナス支給日に近い場合、ボーナス支給後に退職することを伝えた方が良いのでは、と考えがちです。
退職することが分かれば、ボーナスの支給額が減らされる可能性があるからです。
しかし、明らかにボーナスのタイミングを避けて退職の意思表示をしたことが会社側につたわると、会社側の心証は良くないです。
多少の減額は承知の上で、ボーナス時期に拘わらず、早めに退職の意思を伝えた方がいいでしょう。
トラブルにならないために注意すること
次のキャリアに影響することも
転職先がすでに決まっている場合、「もう辞める会社だから…」と、気遣いのない対応をとってしまうかもしれません。
しかし、そのような態度は、退職時、さらには退職後にトラブルの原因になってしまうことがありますので、充分気をつけましょう。
例えば、転職した後に前の職場の同僚とビジネス上の関わりができることは少なくありません。
退職時によくない印象を持たれていた場合、ビジネス上の付き合いになにかしらの影響が及ぶことがあるかもしれません。
退職時に良い印象を持たれるには、
- 退職が決まった後も誠実に働く
- 担当業務の引継ぎをしっかり行う
- 最後までしっかり仕事をする
ことです。
辞める会社だからといって、適当な対応をとらないことが円満退社のポイントです。
まとめ
退職の申し出は労働基準法では特に規定はありません。労働者側の方で一方的に退職することについては民法の定めになります。
民法によれば「雇用は、解約申込の後2週間経過したる因りて終了する」(民法627条1項)とあります。
つまり、退職を申し出てから2週間経過すれば、会社の承諾がなくとも会社を辞めることができます。
しかし、円満に会社を退社するならば会社の就業規則に従って辞めた方が良いでしょう。
仕事をしながら転職活動をしている場合、現在の職場を退職するのは次のステップに進むための大事なプロセスです。
退職までのスケジュールをきちんと組み、退職の申し出のタイミング、仕事の区切りや引継ぎなど考慮し、円満退社を目指しましょう。
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